夢醒/雑魚ヒロシ
 
、またここへと来ればいいだけだが、
ここは、彼女たちは、明日も、存在しているだろうか。
いつもあることが、いつもあることでなくなること。
私がそれを思うことが、彼女らの運命を決める?
それを思った刹那、私は、
言い知れぬ不安感と、名状出来ぬ不思議な高揚感を覚えた。
いつものように、この街を抜けて、
いつものように、私は駅へと向かった。
いつものように、全ての風景が、蜃気楼のように揺らめくのが見えた。
何処からか湧いてきた透明な欠片が、
隊伍を成して、蜃気楼の彼方へと去ってゆく。
或るものは欠片のまま群れ、ひしめきつつ、
或るものは延長線を融合させ、一つの全体を形成しつつ、
或るものは列となって飛び去り、
或るものは労わり合いながら這い行く。
揺らめきが、だんだんと振幅数を増してゆく。
解体が始まる。
私は醒める。
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