夢醒/雑魚ヒロシ
 
いつものように、この駅を抜け、
いつものように、あのラーメン屋街に着くと、
いつものように、あのx番目の店へと入り、
いつものように、私のy席目へと座る。
すると、
いつものように、
近くに座ってラーメンを食べていた、
顔の無い美しい少女達が、
私を見、会釈をする。
私もまたいつものようにお辞儀を返し、
そのまま、席にすわったまま、
彼女たちが麺を啜る姿を見つめる。
今しがた、私が通ってきた店の外は、
薄明のようでもあり、
黄昏時のようでもあり、
暗闇に覆われているようでもあり、
街灯が数本ついているような気もすれば、
白昼の光が満ちたショー・ウインドーの中のよう
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