海の家/秋葉竹
スープがとてもぬるかったんだ
暑い浜辺のラーメンだから
お店のひとが気をつかってくれたんだ
とか
君は云い出しかねないから
僕はあいまいに笑いながら
このラーメンも美味しいよ
って
やさしげなだけの
まっしろな嘘をつくんだ
まんまるく丸まったこころが
君の美点だねって
かつて上から目線で君を語ったけど
いまは君のこころにくるまれて
まんまるくなりたいって
希うんだ
そのあと
波間に浮かぶ白いものを
彼女は小舟といいはり
僕には波にしかみえないから
しばらくいいあらそったあと
ふたりして
ふたりとも
黙り込んでしまったのを
懐かしく想い出す
そのあとさきに声をかけたのは
どっちだったっけ?
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