エイフェックス・ツイン、永遠に(改稿)/由比良 倖
 
休学しているのにいつも勉強をしていた。泣きそうな顔をして。
「勉強が楽しくないの?」
とあるとき私は訊いた。
 彼は咄嗟に何かを隠すような姿勢を取って、またそうしたことを恥ずかしく思うように、左手を軽く上げ、上げた手の持っていき場所に迷って、耳の辺りの猫っ毛を摘んだりした。それから、
「何?」
と私の顔を見ずに言った。言ってから私の顔を少し見上げた。
「いや、勉強してるの好きじゃないの? 何か辛そうだな、と思って」
 彼は何か今小口径のピストルで頭を撃たれでもしたみたいに大仰に目を見開いて、
「ああ、うん、そうだね。楽しくないね」
と言った。
 彼の書いているノートを見ると、意
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