エイフェックス・ツイン、永遠に(改稿)/由比良 倖
 

「死なない死なない。どう、踊りは楽しかった?」
「うん」
「俺も楽しかった。沙恵と一緒だとね」
「そう? そんなこというの初めてじゃない?」
「そうでもないさ。……エイフェックス・ツイン聴いてるの? 久しぶりだね」
「うん。流しっぱなしにしてた」
「ドラムで分かったよ」
「そう」
「うん。じゃあ、またね……」
「また……」
「これからは一緒にいるから……」
 沙恵は毛布にくるまって眠っている。その顔からは微笑と涙の両方がこぼれる。何もかもが良くなっていくだろう。私にはやりたいことが山ほどあって、Yがいて。花畑にはまだ早い季節だけど、彼は一番いい日に花畑に連れて行ってくれるだろう。そして本当はひとりで来たかったような、自分だけが来たかったのに、私にも付き合わせて申し訳ないような、あくまで照れ隠しをするような表情をするだろう。私は今は世界の端っこにいるけれど、でも不幸じゃないよ。ねえ。何もかも、明日になれば、きっと……。
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