燃える時間/積 緋露雪00
 
春雷が轟く中で、
一際高い朽ち木に稲妻が落ちて燃え上がりし。
さうして世代は更新され行くのだらうが、
一度火の付いた朽ち木は最早炭になるまで燃え上がるなり。
雷雲が垂れ込めて一際冥い世界を
燃え上がりし朽ち木が闡明するや。
稲妻が轟音を立てて、
天空を翔るときと時を同じくして
それは正に燃える時間と言っていい事象で、
雷に打たれ燃え上がる朽ち木が
ちっとも此の世に未練などなく
潔く燃え行く姿は神神しささへ湛へ、
時間が燃え行くとは
沈黙の中で消ゆることではなく
闇を照らし、それ故一時の激烈な事象に苦悶しながらも
涼しい顔をして燃え尽き行くその様を
此の世に曝すことに
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