なぜ美男美女がモテるのか?/森 真察人
 
値が求められるようになった。そこで人間の身体の部位で最も目立ちやすい顔立ちに、評価軸が定められたのではないか。顔立ちに評価基準を(明文化されずとも)定めておけば、顔立ちのいい人間(モデルとか)は企業の広告塔として機能し、顔立ちに恵まれない者からの搾取も可能となる。

顔立ちの良さが時間・空間を異にすると異なってくる理由もこれで説明できる。すなわち”美男美女”が多すぎてはいけないから(経済的価値が生まれない)、その時代・国によって最も総数の少ないタイプの顔立ちが尊ばれるようになった。時代や国によって環境は異なるのだから、自ずと人々全体の顔立ちも異なってくる。その人々の中で美男美女とされる顔立ちが時代・国によって異なるのは自明である。

まとめると、美男美女(とされている人々)が知力や身体能力などの生存の能否に直結する能力を持っていることが明らかでないにも係わらず繁殖に有利であるのは、顔立ちそれ自体が資本主義に呼応した共同主観的な価値を有しているから、と言えるのではなかろうか。
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