にわくらべ/そらの珊瑚
 
ンス越しに対面したわたしに
吠えもせずしっぽをふってくれた愛らしい犬
番犬向きではなかっただろうけど

かなしいこととうれしいことは
よみがえってはきえていき
またよみがえり
いつのまにやらまぜあわさって
時間のふちで立ち止まった日傘が作る
わたしのちいさなひかげを
さざめきあいながら
とおりぬけていく

くさぼうぼうもわるくないな

人のおもう美しさのタガははずれて
ただそこでさっぱりと生きているだけ
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