Your Song。/田中宏輔
 
いるところの詩学らしきものの根幹をなすものとさえなっていると思われるものなのである。

 
先生の『額のエスキース』という詩の中に、「女性の中に眠っている/孤独な少年はめざめるのだ」といった詩句がありますが、先生が、ひとやものをじっと見つめられるときには、先生の中にいる少年が目を覚ますのでしょう。そして、その少年が、先生の目を通して、ひとやものをじっと見つめるのだと思います。
やがて、その少年の身体は、少年自身の目に映った、さまざまなものに生まれ変わっていきます。


と、「現代詩手帖」の二〇〇三年・二月号(「大岡信」特集号)に、筆者は、書いたのだが、もちろん、この「少年」は、魂の比
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