Your Song。/田中宏輔
りきたりの表現であり、目につくところは何もない。しかし、「孤独がぼくをひとりにする」とか、「孤独がひとりをぼくにする」とかいった表現には、これまで筆者が知っていたものとは異なるところがあるような気がしたのである。この詩句を書いた時点でも、それは、はっきりとは説明できないものだったのだが、少なくとも、これは、「孤独」という言葉に対する印象として、筆者にとっては目新しい感覚であることだけはわかっていた。ときとして、言葉といったものが、わたしたちについて、わたしたち自身が知らなかったことを知っていたりもするのだが、これは、言葉にとっても、同じことなのかもしれない。言葉が知らなかったことを、わたしたちが教
[次のページ]
戻る 編 削 Point(9)