石化びと/本田憲嵩
 

打ちあげられたように、青白いシーツの砂浜の上で晒されている。まどろみ。おだやかな白い波に晒されながら、そよと吹く風に晒されながら、あるいは無数にきらめく石英質の砂塵に晒されながら。そして、その上空でつねに見張っている、無数にきらめく星星の光に晒されながら。まるで哺乳類かなにかのように横たわっている。そんなふうに風化してゆく化石になる夢を見る。そんな夜々を繰りかえしてゆくうちに、やがて本物の骨の化石に極めて近づいている。青白いシーツの砂浜に打ちあげられて、まだ生きている化石。



戻る   Point(9)