空白の歌たち/由比良 倖
 
か、私は泣けない。


(心によって出来た結晶たち。)
雪の結晶のように歌いたい。


私には数なんてもう、何の意味も無い。
ヤマハのスピーカーが溺れてる。
窮屈になることって人間くさいけれど、
生き死にを気にしないとき、人は人に好かれるのだって。
雨の音を聴きながら、私は何万年も前に見付けた答えを思い出として、
電光掲示板の下や、廃墟の街で、
そこが私にとっての、人類最後の場所ならいいなと思う。
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