ヨウサギ/秋葉竹
 


 

悲しみを
無視して
世界に届けよと
歌を歌ったヨウサギがいて

どんな正しさが
その
歌声に宿っているかは
だれも
気づかないのかなぁ?

どうしようもなく
漆黒の苛立ちばかりが
やさしさを
すべからく
薙ぎ倒してゆく

なにを信じればよいのかも
わからないまま
歌だけ歌って
歌って
ゆくよ

この手で犯した罪の悲しさは
きっと
癒すことなどできない
切れすぎるナイフのような罪の悲しさだ


すべてのヨウサギがそうではなく
その
たった一羽のヨウサギの
過去を振り返りながら鳴いている
たゆたいが
ちっぽけな
罪を忘れたしあわせだったりするから



夜ばかり
新たな詩など作りたい
夜は夜とて散歩をする空








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