部屋は墓場へ戻す。焚火は近く終わる。/竜門勇気
 
ままで
ここにある暖かな毛玉
ぼくの愛する柔らかな日向のなかで
小さく冷たくなっていく
揺れる光の中の役立たずの供物が
みすぼらしく、無意味で
なんなら忌まわしくて
凍えるような吐き気がする

街の中の明かりの
一つ一つが不愉快で
うつむいて歩くとき
吐く息とつま先が
やけにはっきりと見える

穏やかな静止と
消耗の交差が
共鳴している
遠くの
幹線道路のロード・ノイズ

吐く息、吸う息
つま先、ノイズ
冷えいく石、最後の熱

この部屋の中で
膝の上で寝息をたてるきみが
いなくなったら
この部屋は墓場に戻す
生きたものはもういない
ここをぼくときみの墓場へ戻す



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