読点。/田中宏輔
ちょっとした役者なのだ。
いや、ずいぶんと役者なのだ。
読点は。
どぼどぼと読点を吐き出す女のように
派遣の読点だからって
なめんじゃないわよ。
きっちり読点の役目は果たしてるわよ。
正社員と同じだけ働いてるわよ。
保障はないけど
だからって手は抜かないわよ。
読点
読点は言葉を縫い付けていく
雨が地面にひとを縫い付けていくように
ちまたに読点が降るように
雨も、ちまたに降っている。
螺旋階段が欲しいから螺旋階段を3階までつけたパパ。
桂の叔父さんちにはプールがあ
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