蓮の池/這 いずる
 
私たちの群生地 は 、
新しさばかり気を取られて
無くなっていく
どこにも見えない
消えていく
どこにも行けない
虚空だけが写しとる色がある
宇宙の深い色合いの
蒼穹が星明に敗れ
私たちは照らす 照らされる 照らして
黄泉の思い出が
障害であり
補強であった
花と風は君に吹いている
君は空を写している
ガラス玉の冷たさを連想するのは
作り物への侮蔑で
心底君を信用していないというだけ
私だけが本当を見ていて
私だけが深淵を見て
私だけが宇宙を見て
私だけが君を見て
君たちのはしゃいだ笑顔に
真実があるのか問い続けて
自分に真実がないことも
君にも誰にも何も無いことが
救いと軽蔑であって
不快と安心の底に
何も無いのが安寧であった
誰もが軽蔑の泥にまみれて
咲く蓮だった



戻る   Point(4)