痩せた猿が誘蛾灯の下で/ホロウ・シカエルボク
ビニの猿はどうなったかなと思い、小雨の降る中ビニール傘を差して長い散歩に出た、確かこのあたりにあったと思いながら歩いたが、不思議なことにまるで見つけることが出来なかった、適当に歩いていたから記憶違いかもしれない、そう思いながら違うコンビニで雑誌を何冊か買って家に帰った、それからしばらくは仕事とプライベートの雑事に翻弄され、散歩をする気にもならない日々が続いた、それらがようやく一段落ついたとき、俺は久しぶりにあのコンビニと猿のことを思い出した、けれど、おおよその方角以外まったく思い出すことが出来ず、夜明け近くまで彷徨った挙句、ある街の外れの山道のそば、だだっ広い更地の中に錆びて変形した檻がぽつんと置
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