チェロの深い音/flygande
はこんなにも美しく
こんなにも強い
白い石をたくわえる
君が笑うたび
見え隠れする誕生日
川床で見つけた
桃色の木漏れ日
君が生きていると
そのような
嬉しさがまぶたを温かくする
2、
秘密をすべて伝え切って
死ねる人はいないから
自分ばかりを
手渡そうとするけど
わたしのことを知りたがって
君は口を噤んで
話の続きを待っていた
冬のように静かだと
わたしが思うチェロの音は
春のようににぎやかだと
君はかたくなに言い張った
たぶん秘密を隠したまま
そんなふうに君も
ちゃんと君のことが好きだった
穏やかな河の上流を
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