疾雷/ヤギ
 
干からび抜いた駱駝(らくだ)の骸骨
桃源郷から狙い澄まし
放った矢の数十と二本
駆ける羽音は雹の落雷
蝶食う鳥を焼き残し
劈く轟音無色透明
阿吽の痺れは醒めて婚せず
一毫櫓(やぐら)の風見鶏
金色騒騒(さいさい)夜叉坦懐(たんかい)に
可杯(べくさがずき)を乾(ほ)して候



騒騒  物が揺れ動いてさわさわと音を立てるさま
坦懐  心がひろくわだかまりのないこと
可杯  飲みほすまでは下に置けないように底に小さい穴をあけた杯


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