けがされもの/秋葉竹
 


 

いったいこのちいさな世界には

なんにんの偽善者と
なんにんの偽悪者とが

いるのだろう?


なんてことを考えてみたこともある


天災のあとのような
悲しみしかみえないこの両目を
だから
閉じつづけていたこともあり

人災のあとのような
悲鳴しか聴こえないこの耳を
だから 
塞ぎつづけていたこともあり

いま
この寒い夜に
凍えていたりはしないだろうか?
偽善の心を
みずから恥じたりは
していない
だろうか

そして

偽善という
ひっぺがしたあとの
みた目は
まるで悪に近いような
悲しげに揺蕩う心も

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