源氏 其の七/藤原絵理子
 
横笛
虫の音のことにいでつるあはれかな 高きくもゐに月ぞてりける

鈴虫
なげけどもよをふる月のおほかたは 虫の音にだにまさる露かな

夕霧
なるる身の古きよすがをつつゐづつ くちつる袖の名こそをしけれ

御法
薪こるかまくらやまの萩の露 ふりさけ見ればとほき不尽の嶺


もちづきのかけたることのなき人も 菊に露おくあきかぜぞ吹く

匂兵部卿
おのずからかをる笛の音 柏木の葉の散りぬるを誰やひろふらむ
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