ぎんなん/藤原絵理子
ご神体は山だった
うさぎは皆に撫でられて
頭と耳がぴかぴか光っている
カレル橋のヤンネポの犬もそうだった
ウイルスが沁みこんでいる
だだっ広い草原に意味不明な巨石
群がる観光客を羊だと思った
人智の及ばないものは
神さまになった
上士だった退助が
自由な民の権利なんて
どこかおかしい
変節はあまりに極端すぎる
はりまや橋にがっかりする
秋のじいさんは
散歩ついでの公園で実を拾う
ゴミ拾いばさみで器用に
種を取り出してはレジ袋に入れる
帰り道ですれちがう女子高生に
鼻をつままれないよう
レジ袋は二重にしてしっかり閉じる
死臭に近いという人もいる
近所の気のいい民生委員は
公安かもしれないし
もっとグローバルな國安かもしれない
むかし特高というのがあったな
大阪では人気のある太閤さんも
諜報の名手だったんだとか
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