誤解/soft_machine
 
それを人に悟られまいとする怯えが遂に、
自分自身への誤解ひとつでも解き明かしてしまったなら、孤独を癒すためだけ
でもいい誰か、決して解き明かせない誰かを頼る他にないじゃない、でしょ?
合わせ鏡の真実は、どんなに必死に覗きこんでもその中心に立てなければ知り
得ない。立てたとしても、瞳の消失点ひとつあるぎりという疑念も拭えない。
一辺の枠を眺めれば、確かに連続を見るだろう。求めた永遠の概念に較べれば
あまりにお粗末な、覗き時のあれとの類似性が優るばかりで、もうね。と窓べ
に溢れる公園の芳醇さに肝を潰す。白爪草が咲いている。水に濡れている。蛙
が蟷螂の捕食をかいくぐる。息する鳩。雲が割れ、子どもが楓を抱きしめる。
それは未だ完璧な誤解。




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