春の蝶/
秋葉竹
月へ向かって翔ぶ蝶は
森がしぃんと静まった
眠たい夜にりんぷんを
音なくばら撒き翔ぶのです
湖上に浮かぶ小舟にも
歌を聴きたい詩人にも
ひとしくばら撒き翔ぶのです
さやかな愛を注ぐのです
忘れられない約束は
震える喉を撫でる声
それを待つのは悲しみを
ビーロドみたいに歌う蝶
春へ向かって翔ぶ蝶は
桜がそろそろ咲くまえに
より道しながらあでやかに
そっと笑って翔ぶのです
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