音楽をください/中田満帆
 
 ロビー・クリーガーのようにピーター・ブロデリックのようにギターが弾きたい
 ときには折坂悠太のように吼えたい、三上寛のように私小説でありたい
 ことごとく滅びたはずのぼくを呼ぶ音楽たちをいまも愛おしくおもう
 堀内幹のよう懐いだされたいときも、宮本浩次のように忘れられもかまわない
 ぼくがぼくの文体を得るのはいつも他者の声からだった
 ヘロー、ヘロー、涙が抒情であったときに帰りたい
 ぼくのなかでじれるフガジや、トム・ウェイツがいまでもなごる
 この海岸、そして浸透する大人たち
 谷口健、そして吉村秀樹へと至る道をどう生きていいものかいぶかった
 松崎ナオよ、あなたの裏声はこの
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