春はうたう/そらの珊瑚
 
ライトブルーの空
すこうし白をのせた色
あの色を知っている
埠頭に咲いた可憐な花もまた
無邪気にすみわたって
人の秘密をあらわにさせる
そんな色をしていた
或いは
指を彩る鉱石もまた同じ色
紅茶に溶かして
飲み込めば
苦い さざなみ

風は強い
ますます強い
うなりを伴う地球の生き物として到着し
花をちらし(ゆくえしれず)
雲をちぎり(また会いましょう)
素知らぬ顔で
古い季節を吹き飛ばしていく



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