リノリウム版画/soft_machine
 
売り場に置かれた固いビニルのソファで
じんじんと騒がしい頭を抱えながら座り
来るのがわかる
身体の内部が裂けて
外へ走りだす時たてる あの匂い

静かに伝わる音を喉で感じる
周囲の通行人がちいさく叫ぶ
店員が走ってきて
しかしここからは近づけない
といった表情で 一定の距離をたもつ

拡がりきった赤い液体に一旦別れ
拝借してきた水溶紙でたんねんに拭う
リノリウムの版画のような甘い淡い
清掃員がきて
私達は朗らかに仕事を交換する

私の中に
とても流れることに驚かされた




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