鏡像 【改訂】/リリー
 
近頃ぐずついた空模様だったのだ。

 「ええ所やんか、ほんまに。こんっな便利な場所で家賃三万て凄いわ。
 上手に探したな」
 「そやろ! 紹介してくれはった不動産屋がな、良かったんや」
 「桜、咲いたらさ……あの公園で花見しようや。お弁当作ってさ」
 「楽しみやなあ!」
  京阪電車の最寄駅から徒歩十五分程、湖東岸を北上する県道を傍道へ
 入った静かな住宅地で
 「あそこやねん」
 友人が、二階建てのアパートを指差した。二ヶ月前から、彼女の新しい
 生活は始まっていた。

  私より二歳年上の友人とは、現在の職場で四年前に知り合った。部署
 は違うけれど、同年代が集まる
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