鏡像 【改訂】/リリー
まる忘年会や飲み会の席で気が合い、食事や
飲みにも行くようになったのだ。
二人で飲み交わすお酒は、時に重かった。行きつけの酒房では、入り
口から一番奥まったカウンター席に座る。或る日の彼女は、三杯目のグ
ラスを掴み取ると氷を一つ、頬張ってガリリッ! と噛み砕いた。
大腿骨を一度骨折してから足腰弱り、外出時の歩行も困難な彼女の母
親は、本人が自覚を持たないでいる認知症だった。離婚して出戻った長
女との二人暮らしでは、口だけが元気。どうしても互いの感情が、絡ん
でしまう。
「あんた、……どうせあたしなんか、早く死んでしまった方がいいと思っ
てるんやろ!」
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