垂れ下がる午後/山人
 
 三月下旬、とある午後
少しばかりの仕事をしながら朝未明に動き出す
あれもしなければならないこれもしなければならないという行動を計画をするでもなく
何かしはじめることが多くなった
つまり、あまり思考したくないのである
思考するよりも取りあえず何かをはじめてみる
すると、何かしている間に別なことを思いつき、それを途中でしてみたりと
そして、結局俺は何をしていたのだろうと忘れてしまうことすらある
 昼になる前から冷たい雨が降っていた
家の中は底冷えがしてどうしてこんなに寒いんだろうと思った
むしろ雨の方が寒いのだ、それを確信した
昼頃から少し気温が上がったのか、手足の冷えは少し収まり、でも鼻が寒い
鼻のてっぺんが冷たく感じることが多い
やがて人はどんな部位も冷たくなるから少しづつ死へ向かう準備でもしているのであろうか
 雨はあがって、どんよりとした濃いミルク色の風景が外にはあった
春だけれども、少雪だけれども、まだ十分な雪は静かに午後の曇天に佇んでいた
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