鏡像 【改訂】/リリー
 

 「いや別に。変わりないよ」
 「めちゃ痩せてるやんけ! まだホームに居んの?」
 「うん」
 「お前ぇ、もっと深く座れよ! なんか飲んだら? 酎ハイとかさぁ」
 メニューを差し出す彼が、あんまり薦めるのでカルピスの酎ハイを注文して
 みる。飲み進めるうちに、老人ホームの退職を考えている事を口にしてい
 た。
 「その方がええんちゃう。今のお前には向いてない」
 「なんでやの?」
 「前を見てない」
 お前は前を見てない。過去よりも、未来へ目を向けるのもな、大事なんは
 現在なんや! その人にとっての「前」があるんやぞ。そもそも何で、今の
 仕事に就いたのか? と彼は尋ね
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