violet/パンジーの切先(ハツ)
、痛がる。わたしのそんな姿を見て、すみれちゃんとそのともだち達はわらっている。ひょうきんもののように振る舞って、すみれちゃんのご機嫌とりのためのギャグをやり、そのことで先生からはよく叱られたし、「ほんと終わってる」と、すみれちゃんと、彼女の周りの子以外からは、わたしは相手にされなくなっていた。
目が合ったこともないおとこのこに、文通を申し込んで、でもそれがいちばんすみれちゃんにウケることだと、ある日のわたしは思いつく。そのころのわたしの目は、写真で見ても、本当にくらい。黒くて暗い目をして、ランドセルを背負って、わたしにはそもそも、文通用の便箋に書くことが何もない。当時考えていたことなんて、みん
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)