violet/パンジーの切先(ハツ)
 

 ダイニングテーブルに突っ伏して眠っていたわたしを起こしたのは、携帯の着信音だった。積まれた本、レポート用紙、ボールペンたちにipadをざっと左手で、もがく様にどかして、携帯の液晶画面に触れる。布団以外で眠ると、ゆびさきまで冷えるし、身体中が凝ることも知っているのに、まだ月に一度はこんなことがある。お疲れ様です、と携帯のスピーカーから声がして、それが店長のものだと理解した途端、げんなりする。不安定なシフトの皺寄せ、誰かの代打の打診だ。用件はすぐ済む、わたし今日は出られないんです、すみません。その一言で、店長は了解して、すぐに電話は切れた。目の前にあったマグカップに入っていた水を飲みほして、わた
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