鏡像 【改訂】/リリー
「おはよ! どうやった?」
「ああ……おはようございます。うん。何事もね無かったですよ」
「よかったやん! ラッキー」
そう、たとえどんなに長い夜であっても、騒動にさえならなければラッキー
なのだ。
宿直手当の五千円なんか要らないから、自分だけ勤務シフトから宿直業務
を外して欲しいと主任へ本音を言うベテランもいた。
第五章 「メモワール?」
「あんた、髪アップにしてる方が似合うわ」
癖毛でブローもしていない寝起きのセミロングを、束ねて結い上げてある
だけなのに、褒めて貰える。
「土台が悪いとな、何してもアカンのよ」
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