鏡像 【改訂】/リリー
 
近所に住まう主任とチーママが
 車を出して捜索する。たまたま施設前の車道を下って国道へ出た歩道を、石
 山方面へ歩く姿が発見された。この騒動があって以後、正門は施錠されるよ
 うになった。
  ところが、日中に裏門で同じ事が起こってしまう。彼女は、外を歩きた
 かったのだろう。外出するには人手が足らず、施設のレクリエーションでお
 散歩は少なかった。
  命に関わる為、裏門も施錠されるようになった。やがて彼女が感染症で寝
 込んだ後に、床上げしても療養中だった時の様に車椅子で過ごしてもらう組
 識としての、対応が取られるようになった。
  まだ歩けるはずの認知症のひとを、車椅子
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