鏡像 【改訂】/リリー
 
  第四章 「メモワール」?



 「なんなん? あのベット」
  四歳年上の先輩の木崎さんが、病室の西側の壁へピッタリ寄せて在る空
 ベットに目を向けた。敷かれる古びたスプリングマットには、薄茶色のシ
 ミ。この日、病室の専属職員は忌引きのため人手が足らず、新館一階を担
 当する木崎さんは助っ人で回されていた。
 「なんか、気になります?」
 ベット周りの掃除をする私の、モップ握る手も止まる。
 「うん。あそこて、何時から使ってへんの?」
 病室の人は眠っているので、小声で説明する。
 「夏に、高木さん亡くなってからちゃうかなぁ……。分かる人はね、気にす
 るんです
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