うつくしさ/
やまうちあつし
別の星から
花を摘んできた
それはそれは
大変な旅路だった
いろいろなものを失った
財産や名誉
同行していた友人たち
そしてこころ
すっかり空っぽになって
一輪の花を握りしめ
ぼろぼろの姿で帰還したのだ
出迎えた家人は言う
そんなにしてまで
手に入れなくては
ならないものなの
リビングに飾ったその花を
口を開け眺めている
まるで花瓶に
なったみたいに
床を濡らす
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