『夢幻空花』 一、 此の世界の中で/積 緋露雪00
曲芸的にでっち上げる外なく、その糸口としての自然現象のカルマン渦がその一つとして私は看做したのである。
時間のカルマン渦が仮に存在するとしたなれば、その表象として渦巻き銀河が考へられるといったが、もっと身近な存在に台風があり、もっと身近には不規則に細胞に折り畳まれて収納されてゐる二重螺旋のGenome(ゲノム)がある。渦に円運動といふ反復運動といふ視点を持ち込み、その視点で渦を語れば螺旋と渦は視点が違ふだけの同じ現象であるといふ結果に至るのである。そのことを考慮に入れて尚更極端なことをいへば、質料((ヒレー)に形相(エイドス)があれば、その形相が既に時間を表象してゐるといへるのであ
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