『夢幻空花』 一、 此の世界の中で/積 緋露雪00
 
が振り切れたやうな動揺と心の傷を癒やすのであらう。
また、この不合理で冷酷な世界は、例へば”特異点”といふ矛盾を抱え込んでゐる。これは此の宇宙の創成にも関わる大問題で、極限まで、存在するものを小さくして行き、超えてはいけない一線を飛び越えてその存在を無にしてしまった時、無限の扉が開いてしまふのか、それとも無が此の世界を鎮めるのか、いづれにしても何が起きるのか特異点では未だに不明なことである。それは無から有が生じるのかといふ此の宇宙創成時に関はる問題で、少なからずBlack holeの問題にも関係する。ここで、誤謬の仮象を用ゐれば、それは夢幻の世界である。つまり、特異点の問題が解決しない限り、世界
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