『夢幻空花』 一、 此の世界の中で/積 緋露雪00
 
 晩夏の高い蒼穹の下、私はまだ、夏の暑気がたっぷりと残った陽射しを浴び、碧い碧い蒼穹を見上げる。そこには白い月がまだ昇ってゐて、白い月は晩夏の遠い地平線に鬱勃と湧き立つ入道雲を見下ろしてゐた。地は陽射しで温められ、さうして自然の摂理として生まれる上昇気流が地面に心地よい風を吹かせ、私はその風に身を委ね、宮崎駿監督の初めての監督作品「未来少年コナン」の最終回に主人公の一人の少女ラナがアジサシとともに意識が飛翔するやうになんだかあの碧い蒼穹を飛翔してゐるやうな奇妙な感覚に囚はれる。その心地よさはいくら高所恐怖症の私でも気持ちがいいものであった。この自在感は、意識のみだから為せる業で、肉体は相も変はらず
[次のページ]
戻る   Point(0)