漁師の家 うつくしい硝子/R
みも不安もなく自由であると悟りました
私の漁師の家は今日も 夏の日の中にあります
白い光 潮風 波や鳥たちの鳴き声と
それらを押しのけ走る漁師たちの小船
干場を踏みしめるジャリジャリという足音
私が漁師の家を背に利尻を眺めている隙にも
月日は熱心に硝子を磨いているのでしょう
振り返る度に硝子は輝きを増してゆきました
――ああ、ゴミ屋さんが近づいてくるのに音楽が聴こえない。
今では近づいてじっと見ることが難しいほどに光り輝く
この硝子は 田舎の民家にある戸のひとつでした
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