鏡像 【改訂】/リリー
うと膝歩きで、
レース編みされている上野さんへ近づく。
「上野さん、……お腹痛いのぉ」
しょんぼりする私の顔を見ると、すかさずきいてくれる。
「どうしたんやな?」
「うん。今日二日目なんですよ」
「大変やなあ! あたしら、もう枯れてるけど」
「うん。入浴介助で短パン汚れたらアカンやろ……。なあ紙パンツさ、譲って
ぇ」
「そやな、いいで! 持って行き持って行き、ほら!」
尿もれ用紙パンツを二枚もくれる。着替えに急いで居室を出ようとした私の
背中へ
「ちょっと待ちよし!」
上野さんは部屋の隅の整理棚から紙袋を手に取ると
「あだっちゃんコレ、食べて
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