鏡像 【改訂】/リリー
 
うと膝歩きで、
 レース編みされている上野さんへ近づく。
 「上野さん、……お腹痛いのぉ」
 しょんぼりする私の顔を見ると、すかさずきいてくれる。
 「どうしたんやな?」
 「うん。今日二日目なんですよ」
 「大変やなあ! あたしら、もう枯れてるけど」
 「うん。入浴介助で短パン汚れたらアカンやろ……。なあ紙パンツさ、譲って
 ぇ」
 「そやな、いいで! 持って行き持って行き、ほら!」
 尿もれ用紙パンツを二枚もくれる。着替えに急いで居室を出ようとした私の
 背中へ
 「ちょっと待ちよし!」
 上野さんは部屋の隅の整理棚から紙袋を手に取ると
 「あだっちゃんコレ、食べて
[次のページ]
戻る   Point(5)