鏡像 【改訂】/リリー
 
だが、私といるとたまに「ハッハッハッ!」
 と白い前歯を見せて笑った。
  廊下のモップ掛けを済ませて専属の病室へ戻ると、各人のオムツ交換と十
 数名のベットパットやシーツ交換、衣類の洗濯へ取りかかる。大きな洗濯カ
 ゴを担ぐ私と、廊下で出合う一般棟の斉藤さん。
 「あ、斉藤さん、いつもどうもありがとうございますっ!」
 エプロン姿の似合う彼女は、認知症で徘徊のある人に付き添ってくれている。
  彼女と仲の良い人達も同じ様に、脚が不自由だったり目の悪い人の見守り
 に参加してくれる。寮母が忙しくしている時、自発的に食堂への誘導や食事
 を終えれば一緒に連れ立って、居室まで送ってく
[次のページ]
戻る   Point(5)