鏡像 【改訂】/リリー
 
宅で生
 活することが困難な高齢者を対象としている。主な目的は「養護」であり、
 利用者本人が社会復帰できる支援をするのである。
  シフトの早出出勤は、当時一人体制だった宿直者と協力して午前六時前か
 ら中度、重度の要介助者達のオムツ交換や着替え、食事介助をする。食堂で
 朝食を済ませた人達を居室へ誘導してから、朝礼へ参加するのだ。

 「PM七時過ぎ、新館二階の広瀬さんが寮母室へ駆け込んで来る。同室の松本
 さんが喉に物を詰まらせて苦しんでいると報告。下を向かせて背中を叩き、
 吐き出させる事が出来た」
  朝礼で宿直者は、長い申し送り書面を淡々と読み上げていく。他の職員か
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