詩と詩人そして言葉/乾 加津也
 
個人の肌感覚を、別の個人が追体験する
現代詩が、内省パーソナルな感覚享受という新境地を獲得してから
だいぶ経つ

共に生きていた社会性から飛びだした詩は
コミュニティどのように維持するのか
それとも詩の生息域は
すでに“個と個”をつなぐ糸の
綱渡りでしかないのか


 私が「太陽!」というとき
 それは「私の太陽」であり
 私の瞳を通り抜けて
 死にゆく軌跡をたどっている


言葉の運命(さだめ)といえばそれまでだけれども
命になりたかった言葉にも
生命と同じアポトーシス(の作用)が
あるのかもしれない


 永遠が鞭のように波打っていて
 けたたま
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