源氏 其の五/
藤原絵理子
蛍
夏の夜はほたるわたりしたきがはに やがてしぐるるあきの山風
常夏
山ふかみいほのまがきに咲きのこる 風にゆりつるなでしこの花
篝火
かがり火にいざなはるるや 夏虫のあきかぜたてど恋ひしとぞよる
野分
そらごとも浅茅が原によせかへす のわきの波の月をまつらむ
行幸
みゆきまつ小倉のやまの柴の戸の 風にさそはれかかるもみぢ葉
藤袴
吹きむすぶあき野の露のむらさきの にほへる花の香ぞあはれなる
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