いつまでも少年のままでいられたものならば/板谷みきょう
 

六十代で歌っている今も
とても
役に立っているのだが

本州の弾丸ツアーを決行した時
神奈川県逗子市の師匠の家を訪ねた
師匠はギターを弾かず
歌わなくなって大手出版社の
編集長になっていた

久し振りに会って
かつてのように
泊まらせて貰った夜
感謝と近況の話を遮って

「板谷くん。
もう僕を師匠と呼ぶのを
止めてくれないか。
僕は
君の人生を台無しに
したのじゃないかと
後悔してるんだよ。」

一枚のLPレコードを出した師匠
室井まさゆき

今でも
ずっと師匠のままだ

戻る   Point(3)