仮定/ひとつの言い訳(死を下見して)/アラガイs
 
これは独白ですよ。たぶん。嘘は混じり込んでいるとも。もちろん。想像してみたくなる。いや、自分の死なんて想像してもつまらないものですね。幾ら考えたところで当たるわけないもの。なあんて、しかし捨ておけないのも死で、たまには真剣に考えてみるのも乙なものですよ。というのも夜になれば息をひそめてわたしにぶら下がる彼ら(主に人形)は左利き。時計とは逆に廻るのが右利きのわたしだからです。摂氏マイナス一度にまで下がった夜の闇の中で歩いていました。歩くとは言っても目的は仕事なのです。明日を知りたければどうしても配達しなければならないものがある。人間も情報無しには生きていかれない身体になりました。この寒さと暗闇のせい
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