旅路/レタス
 
漆黒の夜は墨を流すよう
月を映す川面に
ひとひら ふたひら はらはらと
桜花びら舞い落ちて
ゆるり ゆらり 花筏(はないかだ)

きみの面ざしを垣間見て
もういいよと呟いた

漂泊の脚はすでに萎え
想いは遠く微かに消える
肩に積もる花びらを払うことなく

願わくは
闇路(やみじ)の褥(しとね)
花埋(はなうず)み



             初出 日本WEB詩人会 2024/03/11
戻る   Point(4)