鏡像(14)「疑惑」/リリー
「あんた、Rさんと二人やったんかっ?さっきまで。」
それは或る日の午後
旧館寮母室から日誌を書き終えて
廊下へ出て来た私の片腕を掴み、たずねる四十代の先輩
「はい。そうですけど。」
「Rさんが預かり金帳簿つけてる時に、寮母室入ったら
アカンのやって!」
「へっ?なんで、どういう事ですか?」
「あんた、まだ聞いてへんかったんか?」
「何をですか?」
「途中で、一人にならへんかったか?」
「はい。トイレ行かはりましたよ。」
「ほら、見てみい!あんた、やられたわ。…。」
「へっ?何を!どういう事ですか?」
この先輩のわけわからん言動を
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